出口　茂

生命理工学センター　センター長

深海バイオテクノロジーとオープンイノベーション

海洋研究開発機構（JAMSTEC）では、1990年より「しんかい6500」などの探査設備を活用し、深海に生息する微生物に関する研究を行なってきました。高圧力、暗黒、低温、超高温・高圧に支配された深海の極限世界でも、豊かな生物多様性が維持されています。深海生物が陸上とは大きく異なる環境に適応する過程で獲得した独自の生存戦略は、新たなバイオテクノロジーを生み出す基となるバイオリソースとして期待されています。
深海微生物に固有の生存戦略を活用したイノベーションの創出を加速するために、JAMSTECでは2014年より民間企業や外部機関と連携したオープンイノベーション体制の構築を進めてきました。2020年2月からは中核事業として準備を進めてきた深海バイオリソースの外部提供事業を本格的に開始しました。今回の講演では有用バイオ資源としての深海微生物の特徴と「深海バイオリソース提供事業」の概要を紹介します。